適応障害とは
適応障害とは、その人にとって耐えがたいほどの強いストレスをうけて、それに適応できず、心身や行動に日常生活に差し障りがあるほどの症状があらわれている状態です。ストレスになる要因は、世界レベルの大きな問題から個人レベルの問題まで様々で、また症状のあらわれ方もそれぞれの人によって異なってきます。特徴的なのは、そのストレスとなる対象がはっきりとしていることで、医師の適切な治療と指導によって、ストレスとなっている要因から離れて休むなどの対応をとることで、かつての日常生活を取り戻すことも可能です。
適応障害の症状
- 一つことにこだわり考えすぎる
- 感情のコントロールができなくなる
- 集中力が維持できなくなり、ミスがふえる
- 暴飲暴食に走ってしまう
- 休みの日になると気分が楽になる
- 遅刻を繰り返す、無断欠席をする
- 衝動的に物にあたり壊してしまう
など
適応障害の原因
原因は耐えきれないほど強いストレスで、身体や心のストレス防御反応の領域を超えてしまうと様々な心的、身体的症状があらわれます。
症状があらわれるもととなったストレスの原因がはっきりしていることが適応障害の特徴で、その原因は多岐にわたりますが、引越、就職・転職、転校、クラス替え、配置転換、昇進などが原因となっているケースを多くみかけます。
「適応障害」と「死別反応」
適応障害の原因となるストレス要因には様々なものがありますが、診断する際、死別反応は強いストレスによる心身と行動の変化が通常の反応とされますので、適応障害から除外されます。
「適応障害」と「うつ病」
適応障害とうつ病は、精神的な症状に共通するものがあり、混同されがちですが、適応障害はストレスそのものが原因であり、うつ病は脳のメカニズムに問題があってストレスなどを原因として働き発症しますので、まず原因そのものが異なっています。
その他では、適応障害の場合原因となるストレス要因が取り除かれるか、ストレス要因から距離を置くことによって症状は軽減されます。しかしうつ病の場合は、脳の機能的な異常が前提にありますので、ストレス要因を取り除いても、症状は軽減されず、継続します。
診断の際には、この差に注意をはらって、どちらかを診断し、治療においても、うつ病の場合には、まず脳の機能を正常に戻すことを目的としますが、適応障害はストレス要因を除いたり低減したりすることを目的とします。
適応障害の治療
適応障害の治療は、患者様を強く押さえつけているストレス要因を取り除くことや、軽減することになります。適応障害の場合、ストレスの元が分かっていますので、その要因から一時的に離れることが一番で、たとえばしばらくの間休職・休学するなどをお勧めすることもあります。しかし、要因が簡単に取り除けないケースもあります。そんな場合は認知行動療法などで考え方、捉え方を柔軟にして、ストレスの軽減をはかっていくこともあります。
適応障害のセルフチェック
- 気分が沈んで気が重くつらいが休日は気持が軽い
- ちょっとしたことで、ついイライラしてしまったっり、腹が立ったりする
- なかなか眠ることができない
- 体調を崩してしまいやすく、いったん崩すとなかなか治らない
- 動悸が激しく、息苦しくなる、胸苦しい感じがする
- ちゃんと休みをとっているのに、疲れがとれない、すぐ疲れる
- 人間関係が面倒になってしまうことが多い
- 手足が冷えていて、実際に冷たくなる
- 肩こり、首こりなどが続き眠ることができない場合もある
- めまい、ふらつき、立ちくらみ、吐き気などを感じやすい