精神科の薬は飲んでも大丈夫?安全?やめられない?怖い?依存しない?
精神科に通院する患者さん、特に初めて受診される患者さんは多少なりとも受診の際に不安を抱えていることが多いかと思います。その中でも特に心配されているのは精神科で処方されるお薬のことではないでしょうか。
精神科で処方されるお薬についての患者さんの疑問
-
- 飲んでも大丈夫?安全ですか?
- 一生飲み続けないといけなくなるの?
- やめられなくなり、依存症になりませんか?
最近、未成年者や若者の繫華街での薬物乱用が問題となりニュースやメディアで話題になることが増えています。またかなり以前から芸能界などでの薬物の蔓延がメディア等で話題となることがあります。患者さんが精神科の薬を内服することに対して心配になるのも当然かもしれません。
現在では精神科で使用されている薬は依存性の生じやすさ、副反応などの観点からもかなり安全なものが増えています。カウンセリングを受けたり、漢方薬を内服するといった選択肢もあります。その一方で一般の方にも簡単に入手できる市販で販売されているような風邪薬でも使用量や飲み方など、使用方法が不適切であったりすると意識が“もうろう”としたり逆に“気持ちが高揚しハイ”になってしまったりといった症状が出て依存症が生じてしまいます。
一般には、比較的安全とされる処方箋がなくても一般の方が入手可能な市販薬ですらその使用方法や使用料が不適切であると依存症をはじめとして腎臓や肝臓などの臓器の障害といった内科的な問題が生じることもあり大変危険なのです。
精神疾患の種類や病状にもよりますが、症状が十分に改善し内服の必要性がないと判断されれば徐々に減量し、一日おきに内服するなどして最終的にはやめることも可能です(病気の種類や、病状によっては長期に内服治療の継続を要することもありますので主治医によく相談するといいでしょう。)患者さんにとって一番大事な目標は“薬をやめることではなくいい状態を維持して仕事や生活、趣味をスムーズにおくること”です。決して"慌てたり、焦ったりしないことが大事"です。
当方も長く外来で患者さんを診察してきましたが、定期的に通院し内服の状況を把握できている患者さんで大きな問題が生じることはまずないですのでご安心ください。また、患者さんそれぞれで生活スタイルや業務時間、業務の休憩時間なども異なりますので無理なく継続して内服できる時間なども主治医に相談してお薬を決めていただくとより効果的な治療が期待できます。
薬によって内服するタイミングが異なります
- 飲み忘れても多少の時間の差であれば思い出した時に内服しても良い薬(原則は指示された時間に飲むことがのぞまれます)
- 症状が出た際にその都度内服できる薬(頓服、屯用薬)
- 内服する時間やタイミングが厳格に決まっている薬(一部の血糖値を下げる作用のある糖尿病の薬や睡眠薬など)
うつ病、ADHDをはじめとして精神状態によっては飲み忘れることが多い傾向もあります。飲み忘れることが心配な方、飲み忘れが多い方は事前に主治医とよく相談しておくとより安心して治療にのぞめるかと思います。
現在、通院されていて処方されている内服薬について心配がある方や、飲むのを躊躇して時々飲んでいない、または中断されている患者さんは主治医に"薬に関して抱いている心配や実際の内服の状況"についてよく相談されるといいでしょう。しっかりと説明を受けて納得、安心して内服治療をした方が不安のまま内服するよりも治療の効果は断然上がります
※主治医は患者さんが薬を指示通りに内服している前提で治療を行っています。服薬がスムーズにできていない際はその状況や理由について主治医にお伝えすることをおすすめします。
この記事を読んでいただいて精神科で処方されるお薬についてみなさんの心配が少しでも軽減されるとうれしいです。
※精神科で処方されるお薬にについての例をあげています
https://www.warabi-mental.com/drug/
※わが国における市販薬乱用の実態と課題 ”助けてが言えない子どもたち”(厚生労働省 HPより)
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001062521.pdf