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整った生活リズムと睡眠

睡眠

 心身ともに健康的で活動的な日常生活を送る上で、生活リズムが整っていることはとても重要です。学校や仕事がある人は、朝は開始時間に間に合うように起き、夜は十分な睡眠がとれる時間に眠りにつけることが必要になります。

 まずは自分の起床や就寝時間、日中の調子や気分を記録することによって、生活リズムを客観的に見てみることから始めてみましょう。

生活リズムを整えるポイント

  •  なるべく朝は一定の時間に起きる
  • 朝食を食べる
  • 日光を浴びる
  • 30分程度の運動をする
  • 適度な昼寝をする(15分~30以内にする)
  • 趣味やリラックスの時間を持つ
  • 22時以降は飲食をしない
  • スマホ、パソコンは就寝前は控える(スマホ、PCから出るブルーライトは睡眠を促すメラトニンホルモンを顕著に減少させます。就寝30分前には手元から離れたところに置くといいでしょう)

 生活リズムを整えるうえで、睡眠はとても重要です。日中、長時間の睡眠をとってしまうと夜に眠くならず、明け方になってようやく眠り、起床時間が昼近くになるといった昼夜逆転に近いリズムがくせになってしまいます。一度そのような習慣が定着するとそれをもとに戻すのは容易ではありません。

 また睡眠リズムは生活リズムにも大きな影響をおよぼします。睡眠のリズムを普段から整えるように気を付け、もしリズムがくずれてきたと感じたら、リズムを戻すように意識するといいでしょう。

 

  • 寝付ける時間が遅くなってしまう方へ

 ストレスは睡眠に大きな影響を与えます。嫌なことや心配なことなどストレスが大きいときに、夜になかなか寝付けないといった経験をされた方は多いのではないでしょうか。

 日中しっかりと活動することを考えると、良質な睡眠をとれるよう工夫していく必要がでてきます。夜なかなか寝付けない場合には、主治医と相談し、睡眠導入剤などの処方を受ける方法もありますが、まずは以下のような点にも注意し、自分の生活習慣や寝室環境を見直すことをやってみてもいいでしょう。

 

①寝る前の習慣を変える

 ・寝る直前のカフェイン摂取や喫煙は、眠りの質を低下させます。就寝前の水分補給は、水やカフェインレスコーヒーなどにしてみましょう。また過剰なカフェイン摂取は不安を増幅させることにもつながります。

 ・睡眠薬代わりの寝酒は、かえって睡眠の質を低下させ、途中で目が覚めるといった中途覚醒を引き起こしやすくなります。また、それまでの飲酒量では寝付くのが次第に困難となっていき、さらなる飲酒量の増加”にもつながります。そのため、アルコール依存症のリスクも高くなるため寝酒は好ましくありません。

 ・38℃程度のぬるめの温度での入浴は血行を促進し、自律神経のバランスを整えます。42℃以上の熱めの温度での入浴は覚醒作用があるので、早めの時間に済ませるようにしましょう。

・就寝1~2時間前のリラックスは快眠を助けます。たとえば、軽い読書や音楽鑑賞などです。

 

②寝室環境を見直す

・ベッドの上で体操をしたり、長時間読書をしたりするのは控えましょう。ベッド上への移動イコール活動開始、と脳が学習し、眠りにくくなってしまいます。

・間接照明や遮光カーテンなどの工夫で、静けさと暗さを確保することも効果があります。一般的には、新月の日の夜程度の暗さが睡眠に適していると言われています。

・温度と湿度を調節することも効果的です。

 

③昼寝の活用

・昼間に強い眠気を感じた時には無理をせず、15分~30分程度の昼寝をしてみましょう。脳を少しだけ休息させることで、その後の時間をすっきりと活動的に過ごすことができ、夜の自然な眠気につながります。質の高い適度な時間の昼寝は記憶力や学習、仕事などの能力向上に役立ちます。その他、疲労回復 やストレス解消を通して精神安定の安定につながります。また心臓病やアルツハイマー病などのリスクの低下にもつながることが報告されています。

・昼寝をするなら、夕方までに済ませるようにしましょう。それ以降になってしまうと、夜の眠りに影響が出てしまいます。

 

  • 朝なかなか起きられない方へ

 朝になかなか起きられない原因としては、これまで身についてきた昼夜逆転型の生活リズムの影響、ストレスの影響、精神の病気をお持ちの方は、症状の影響などが考えられます。

 たとえばうつ病という病気は、朝方に症状が強く出やすいと言われます。病状の改善が不十分な段階では、朝方のだるい感じが抜けずに布団から離れられないことがあります。

 昼間には十分に活動的な生活が送れているにもかかわらず、朝だけがどうしても起きられない場合には、過去の昼夜逆転型の生活習慣の名残かもしれません。その場合は、次のような方法で意識的に朝の生活習慣を変えていくとよいでしょう。

①朝、一度は太陽の光を浴びる

 体内時計という言葉を聞いたことはありますか。人間の生活リズムは、この体内時計によって整えられています。しかし、今までに夜更かしをする習慣があったり、ストレスが多かったりすると、この体内時計がずれやすくなってしまい、夜になっても眠れない、朝になっても目が覚めないという生活リズムの乱れを生みます。また、何もしていなくても勝手に体内時計がずれていってしまう疾患もあります。

 体内時計を調節しているホルモンの1つに、「メラトニン」と呼ばれるものがあります。メラトニンは、脈拍、体温、血圧を低下させることによって睡眠と覚醒のリズムを調節し、自然な眠りを作ります。メラトニンの出る量は、浴びた太陽光の量によって決まります。朝のうちに太陽の光をたくさん浴びておくと、夜にたくさんのメラトニンが出て、質の良い睡眠がとれるのです。

 

②いつまでも寝起きの格好のまま過ごさない

 起床後は、なるべく寝間着から着替えましょう。起きてから長いあいだ眠った時の格好のままでいると、長時間の二度寝や昼寝などにつながってしまいます。午前中に体を動かすことが、本来の生活リズムを取り戻すきっかけになることも多いのです。服装を変えることで、脳も睡眠モードから切り替わることが期待できます。”行動の変化は認知機能にも影響”をおよぼします。結果、良い方向に向かうことが期待できます。行動療法的にも理にかなっているといえます。
行動療法、認知行動療法については下記もサイトもご参照ください。

※認知行動療法 ”認知療法と行動療法”
https://www.warabi-mental.com/blog/cbt/  

 生活リズムを整えて維持していくことは、心身ともに健康的で、活動的なくらしを送っていく上でとても重要です。今現在、生活リズムが整っていない方は、"きることから、少しずつ焦らずに"取り組んでみてはいかがでしょうか。

下記のサイトもご参照ください

※健康づくりのための睡眠ガイド 2023 厚生労働省
https://www.dietitian.or.jp/trends/upload/data/342_Guide.pdf 

             (臨床心理士、公認心理士 伊藤 季代美  監修:精神科専門医 太田 学)