認知行動療法について
人間は何らかの刺激があったときに、それをどのように捉え(認知)、それに対して感情をもち、どのように身体が反応し、どのように「行動」するかという一連の流れがあります。時に最初の「認知」が偏ってしまうことで、続く感情と身体が勝手に反応し、行動に大きな影響がでることがあり、そのこと自体にも大きなストレスを感じるようになります。認知行動療法は医師やカウンセラーなどの助言によって、入口の偏りを正すことで、出口となる行動への変化を起こし、不安や恐怖といったストレスを低減することを目的とした精神的治療法の一つです。
認知行動療法によって改善できること
前向きに行動できるようになる
自動思考とは、何らかの刺激があったときに、頭に瞬時に浮かぶ感情のことです。この自動思考が過大評価や過小評価、決めつけ、白か黒という両極性などの極端な方向へ偏ることで、人はネガティブな思考に支配されやすい状態になります。それによってストレスがたまってしまい、やがては精神疾患を発症してしまうようなケースも考えられます。
認知行動療法では、この自動思考をゆったりと整えていくことで、ネガティブな思考による支配から解き放たれて前向きな行動ができるようになります。この傾向は治療終了後も長期的に継続しますので、精神面での健康の向上を見込むことができます。
副作用がありません
薬物療法と異なり、カウンセリングによる治療ですので、副作用が無く、多くの精神疾患や精神的な問題に対応できます。当院の医師やカウンセラーは、認知行動療法を専門的に学んでおり、患者様の状態にあわせて適切な方法で働きかけることができますので、安心してご相談ください。
対象となる主な疾患
など
認知行動療法の進め方
ストレス認識と問題整理
ストレスの存在に気づき、その要因やその結果おこっている問題を整理します。
考え方と感情の調査
自身の認知(自動思考)が、感情や身体に与えている影響とその結果の行動について調べます。
活動と価値観の再評価
これまでの生活の中で心が軽くなった活動を見つけます。また自分にとって本当に大切なことは何かを考えます。
考え方の変容と実践
瞬間的に偏った思考をしてしまう自動思考と現実とのズレに注目し、プラス思考で柔らかく考える練習をします。それに伴って問題解決や人間関係の改善方法を実践していきます。
認知行動療法のよくある質問
カウンセリングと認知行動療法とは別のものでしょうか?
カウンセリングとは、広い意味では相談員が専門知識をもって依頼者の希望や悩みについて対談で相談にのって解決に導く手法のことです。精神医学の分野では、医師やカウンセラーが心の専門家として、相談者の心の悩みを解決したり、気持をやわらげたりすることを意味しています。また、解決に導くためには様々な理論に基づいた技法があり、その中の一つとして認知行動療法的な手法も含まれるため、臨床の現場では同義に使われることも多くなっています。
一方、認知行動療法は、相談者の自動思考(認知)とその最終的な出力である行動の2つを、自ら御しやすいものとして注目した相談支援の手法です。そのため、狭義では独自の治療技法、広義ではカウンセリング手法の一環と捉えることもできます。
常に漠然とした不安にとりつかれていて、問題点がはっきりしません。それでも認知行動療法が使えるでしょうか?
漠然とした不安は、なんらかの出来事とは無関係に持続するため、なかなか思考の転換が難しいかもしれません。そんな時には、今自分が自動思考において極端な認知に陥っているという自覚をまず認識し、その認識に対して、様々な方向から検討を加えてみてください。
その時点で自分に対して、極端にネガティブな自動思考による言葉を投げかけていることに気づいたら、その内容に対して様々な検討を加えて、もう少し違う考え方がないかなどと、組み直す、認知再構成法をとることで不安を解消することができる可能性があります。
認知行動療法のスキルを身につける過程が逆効果になってしまわないか不安です。柔軟に考えることの意味は理解できるのですが、「それができない自分はやっぱりだめだ」と考えてしまいそうです。
そのように考えること自体が、認知行動療法の対象となっています。理屈で柔軟な思考方法を身につけようとしても、正解を見つけ出すことは大変難しいと言わざるを得ません。柔軟な思考方法は、ご自身の体験を掘り起こして、ご自身で気づくことで初めて自分のものとして身につけることができるのです。ご自身にとって役立つことであるのに、それに対してマイナスの思考をして悩んでしまうという行動にはどこか無理があります。
認知行動療法を受けるメリットとはどのようなものでしょう?
認知行動療法を受けることで以下のようなメリットがあると考えられています。
- 自身の考え方についてのクセ、長所、短所を認識することで、自身のクセに対して客観的にみることができるようになる
- 治療者に話しを聴いてもらうことで、自身の偏った考え方の問題点などを整理できる
- 対人的なコミュニケーションの場面において、具体的なシチュエーションをあげながら、カウンセラーとともに検討していくこができる
- まわりの身近な人たちにすら聴いてもらいたくないことを話すことで気持が楽になる
- カウンセリング終了後も、身につけた認知行動療法の考え方を利用して問題解決を行えるようになり、再発防止に繋がる
など