睡眠障害とは
眠りに関する障害を睡眠障害といい、眠れない、眠り過ぎる、入眠と起床の時間がずれていってしまうなど、様々なタイプがあります。原因も様々ですが、それぞれに応じた適切な治療が大切です。眠りに関するお悩みがあれば気軽にご相談ください。
睡眠障害の原因
睡眠障害の原因としては、加齢、生活習慣病といった身体の問題、ストレスや抑うつといった心の問題、服用している薬の副作用、光や音など環境的な問題などに加え、最近では寝る前にディスプレイを見続けることで神経が興奮してしまうなどの問題もあります。当院ではそういった患者様それぞれの原因をみつけ、それに対して適切な治療を提供しています。
よくある疾患
不眠症
一般的な成人の3~4割は不眠の症状に悩んでいるという調査があり、不眠症は国民病とも言える状態になっています。眠れない、眠りの途中で目が覚めてしまう、早朝に目が覚めてそのまま起きてしまうなど、不眠に関する症状は様々です。必要な睡眠時間は人によって異なりますが、眠れないために日中に何らかの不都合がおきてしまうと不眠症となります。
過眠症
過眠症は眠りすぎてしまう病気です。たっぷりと長時間寝ているのにもかかわらず、日中も眠くなってしまう、眠る時間が長すぎて、会社や学校に遅刻してしまうなどの不都合がおこります。しっかりと寝ているつもりでも何らかの事情で睡眠が浅くなっている、脳の機能などに何らかの異常があるなどの原因が考えられますのでご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群
眠っている最中に呼吸が止まってしまう疾患です。横になることによって気道が塞がれて呼吸ができないケースと、脳の呼吸中枢に異常があって呼吸が止まってしまうケースなどがあります。無呼吸によって眠りが浅くなり、また心臓や身体全体にも負担がかかります。
むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)
眠ろうと横になると、主に下肢にむずむずする、かゆみや痛みを感じるなどで眠れなくなってしまう疾患で、レストレスレッグ症候群ともいわれています。脳内のドーパミンという神経伝達物質がかかわってると考えられていますが、確かな原因はいまのところわかっていません。とくに原因となる疾患がない特発性のものと、鉄欠乏性貧血など原因疾患がはっきりしている2次性のものがあります。
周期性四肢運動障害
睡眠中に手足などにぴくぴくとしたけいれんのような不随意運動が周期的におこり、眠りが浅くなったり、眠れなくなったりする疾患です。ただし本人に自覚がないことが多く、またむずむず脚症候群と合併することが多い疾患です。
睡眠中の異常行動・レム睡眠行動障害
睡眠中に大声で叫ぶ、暴れるなど、度を超した異常な行動をおこす疾患です。暴れることによって自分や周囲の人を傷つけてしまうことがありますので注意が必要です。認知症の一部など何らかの疾患によるもの、薬の副作用によるもののほか原因不明のものもあります。
睡眠障害の検査・診断
問診によって自覚症状などについて詳しくお聞きします。その他には血液検査なども行う場合があります。詳しい睡眠時の状態を知るための睡眠ポリグラフ検査が必要な場合は、検査が可能な医療機関をご案内します。睡眠ポリグラフ検査は1泊入院で行うものや在宅で行えるものがあります。
睡眠障害の治療
まずは生活習慣の改善のための指導を行います。その上で必要に応じて薬物療法も併用していきます。睡眠時無呼吸症候群で重症の場合はCPAPという機械を用いた治療が行われます。
薬物療法
睡眠障害がどのようなものかによって、GABA受容体作動薬(GABAは脳の興奮を抑える神経伝達物質です)、睡眠時間のずれが問題の場合は体内時計の調節に関係するメラトニン受容体作動薬など、様々な薬から適切なものを選択して処方します。薬には副作用をともなうものもありますので、医師の指示をしっかり守って服用してください。
市販の睡眠薬を使用しても問題ないですか?
短期的、一時的に市販の睡眠薬を使用することは、軽度睡眠障害において問題ないこともあります。ただし、長期間、市販の睡眠薬を使用することは依存性や乱用といったリスクが高まり、睡眠の質が改善されないこともあり、推奨できません。根本的に睡眠障害を改善したい場合には、市販薬では十分に対応できないこともありますので、医師に相談し、適切な処方(処方薬)を受けるようにしましょう。